10月25日付 ニュース 社会の報道「新潟中越地震: 地震学や災害対策の専門家に聞く (mainichi-msn.co.jp)」へのコメント:
新潟県中越地震は、95年の阪神大震災後に起こった国内の地震としては、最大の被害をもたらした。中越地域は活断層が多く存在し、M7クラスの地震が発生する可能性も指摘されていた。
(中略)
 ◇村上處直・防災都市計画研究所代表

 被災地の様子を映すテレビで、商店を訪れた客が床に散らばった商品を拾い、「お金は後で持ってくる」と言うと、店主は「いいよ」と応えていた。この地域の人は普段からお互いをよく知っていて、信頼し合っている証拠だ。被災者が配給の食べ物を整然と並んで受け取り、横暴な振る舞いがないのも、地域社会がしっかりと根付いているからだ。こんな地域は、いざという時に助け合い、災害に強い。
(中略)
川だった場所や、新たに土を盛った場所は地盤が緩い。その地域の過去の状態を知っているのは地質学者や歴史学者だけで、知識は防災に活用されていない。
(中略)
 具体的には、各地域の地盤の特徴や人口、石油系施設、交通機関などの危険情報、さらには、高齢者の所在地など行政が持つ情報や、鉄道会社にある駅の乗降客数といったものまで、あらゆるデータを提供してもらう。

 これを一元化して、被害が広がりにくい街作りや、避難経路の確保などの方策作りに役立てるべきだ。各機関に情報はあるものの、有効に活用する態勢になっていない。貴重な情報が死んでいるのも同然だ。プライバシーや誰が費用負担するかなどの問題が障害になっているが、越えられないハードルではない。米ロサンゼルスでは80年代半ばから、このシステムの構築に取り組んでいる。【構成・去石信一】

 ◇阿部勝征・東京大地震研究所教授

 新潟の地下では、東日本を乗せた北米プレート(岩板)と、日本海や中部、近畿地方を乗せたユーラシアプレートがぶつかり、特徴的な地下構造になっている。

 日本列島に地震が多いのは、プレートの押しくらまんじゅうによって地殻にひずみができるからだ。東海地震や南海地震の原因になる太平洋プレートとフィリピン海プレートは、1億年近く前から押し合い、一方が相手の下に潜り込んでいる。 ところが、北米プレートとユーラシアプレートは、出合って数百万年しか経っていないため、一方が潜り込むことなく、東と西から押し合っている。例えれば、削岩機で岩をガリガリと削っているようなものだ。

 そうしたプレートの上の地表は、電話帳を横にして左右から押した時のようにたわみ、波打つ。これは「褶曲(しゅうきょく)」と呼ばれる地形だ。地図を見れば、小千谷市付近では丘陵と盆地が、北東から南西へ向けて繰り返し並んでいるのが分かる。

 やっかいなのは、その褶曲の下に断層がたくさん潜んでいることだ。地震を起こす可能性があるのは、地表から確認できる活断層だけではない。

 この「隠れた未知の断層」は、00年の鳥取県西部地震(M7.3)の原因になった。95年の阪神大震災でも、神戸側の地震断層は今も特定できていない。

 山形県沖から新潟、中部、近畿にかけて帯状に延びるひずみは、専門家から「ひずみ集中帯」と呼ばれている。今回の震源もその一部だ。

 プレートが潜り込むことに伴う「プレート境界地震」は「100年に1度」など定期的に起こるが、ユーラシアプレートは現状をつかみにくく、太平洋側に比べて研究も遅れている。

 一言で言えば「予知できない」のが現実で、今回の地震も例外ではない。肝心なのは「災害は時なし、場所なし、予告なし」。地震に強い社会作りが必要だ。【構成・元村有希子】

 ◇広井脩・東京大大学院教授(災害社会学)

 今回の地震が示した課題は(1)夜間の災害で停電した際の被害情報収集(2)通信網の確保(3)孤立地域への対応−−の3点だ。

 95年の阪神大震災は早朝(午前5時46分)の発生で、明るくなって被害を調査しやすい状況だった。実際には、被害が大きすぎたため、情報を集めきれなかった。今回の地震は夕方に発生したうえ、停電となり、暗闇の中で被害情報を集められなくなった。

 また、山間部では、道路が寸断された孤立地域が続出した。特に携帯電話が全くつながらず、孤立地域の情報を集められなくなった。

 以上の課題を解決し、今後に生かすために必要な対策は何か。

 効果的なのは、孤立する可能性がある地域ごとに、衛星携帯電話を常備することだ。衛星携帯電話は混雑に強い。大規模な津波被害が想定されている東南海・南海地震でも、海岸沿いに孤立地域が発生する可能性が高い。1台10万円程度で購入できるので、配備を真剣に検討すべきだ。

 NTTの固定電話は、災害時有線電話として全回線の0.6%を確保しているが、携帯は災害枠が0.03%にすぎない。携帯の枠を増やすことによっても、被害情報の収集に役立つだろう。

 NTTドコモは昨年9月から、災害時の規制は音声回線のみにかけることにした。今回の地震でも、パケット通信に規制がかかっていなかったので、メールによる情報伝達ができたはずだ。

 安否確認情報に関しては、NTT東日本やNTTドコモが災害伝言ダイヤルを運用している。過去の地震での被災者の認知率は数%と極めて低いので、啓発が必要だ。

 NHKは教育テレビで安否確認放送をしているが、放送は一過性だ。放送は学校や施設など団体の安否情報、通信が個人の安否情報と、すみ分けるのが有効ではないか。通信は記録が一定期間残り、いつでもアクセスできるという利点がある。【構成・永山悦子】

 ◇大竹政和・東北大名誉教授(地震予知連絡会会長)

 地震が起こった地域は信濃川地震帯と呼ばれ、昔から地震の多い場所として知られていた。信濃川に沿った狭い帯の中に活断層がたくさん分布しており、GPS(全地球測位システム)の観測などからも、地殻のゆがみが集中していることが分かっている。

 これは、ユーラシアプレートと北米プレートが互いに押し合い、その境界が日本海東縁から信濃川に沿って続いているためだ。今回の地震も、断層の両側の地盤が互いに押し合い、片方がもう片方に乗り上げる形でずれる「逆断層型」であり、この地域では典型的な地震と言える。

 このプレート境界に沿って、過去に日本海中部地震(83年)や北海道南西沖地震(93年)などの大地震が起こっている。巨視的には、この境界に沿って、プレートの押し合うエネルギーがたびたび解放されている。しかし、今回地震が起こった長岡から長野にかけての地域は、これまでに大きな地震が発生していない「空白域」だった。
(後略)【構成・西川拓】

残しておきたい知識が盛り込まれた記事なので
長文ですが、ほぼ全文コピーしました。

被災地の方は、ライフラインの復旧もまだ十分でなく、
インターネットどころではないと思いますけど、
心から、お見舞い申し上げます。

言葉の慰めなんて、なんの役にもたたないかもしれませんが、
阪神・淡路大震災を経験した者として、
地震の恐ろしさ、その爪あとの惨状を
あの時まざまざと見たので、
今、新潟の様子をテレビで見ると、本当に胸が痛みます。
どうか、気持ちを強く持って、乗り越えてくださいね。
一日も早い完全復旧を祈っています。

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